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<反射的応答と確認的応答>

こんにちは。心理士の井上です。

今日は、人とのコミュニケーションの中で私たちが行っている“応答”について話したいと思います。


“応答”とは、相手の発言を受けてこちらが発言を返すことを言います。英語では“respond”と訳されますが、似た言葉に“react”という言葉があります。“react”は、反応と訳されます。

二つの言葉は似ていますが、英語では特に“人”についてこれらの言葉が使われた場合、全く意味が違うようです。


「彼はresposive(respondの形容詞)です。」と言うときは、とてもポジティブで彼の印象は良いのですが、「彼はreactive(reactの形容詞)です。」と言うときは、逆にネガティブで彼の印象は悪いそうです。


この違いは何でしょうか。


“respond”は相手の言動を聞いて、一息ついてからその内容を確認してから相手のことを思いやった応答のことを指します。確認的な応答と言えます。


例えば、親子の会話の中で、
 子:「テストの点あまりよくなかったよ。」

 親:「もっと取りたかったんだね」
「テスト勉強頑張ったのに、予想より取れなくて悔しいんだね。」

このように相手は自分のことを受け止めてもらい、真剣に自分のことを考えてくれるという印象を持つことになるので、この応答は良い印象となります。

また、話が建設的になる可能性が高いともいえると思います。


それに対して“react”はというと、相手の言動を聞いて、それに対して自分が思ったことを反射的に応答してしまうことをさします。反射的な応答と言えます。

先の例で言うと、

 子:「テストの点あまりよくなかったよ。」

 親:「勉強してなかったから当然だよね。」
   
このように相手の気持ちを配慮する前に口から出てしまうという反応なので、相手を傷つけしまうかもしれません。

また、口喧嘩などの言い争いにつながる可能性が高いと思います。


特に近しい関係であればあるほど反射的応答が出やすくなると思いますが、自分自身の応答が“反射的”なのか“確認的”なのか、少し立ち止まって考えてみるのも良いかもしれません。


暦の上では春ですが、まだまだ朝晩寒い日が続きます。お体にはご自愛ください。
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【 2019/02/19 】 未分類 | TB(0) | CM(0)

<アンガーマネージメント③>

こんにちは。心理士の井上です。

前回は“怒り”とは二次感情であり、その背景には苛立ちや不安、恐怖や悲しさ、寂しさなどの一次感情があることと、怒りには持続時間があり、6秒間我慢すると衝動的な言動や行動を抑えることができることをお話させていただきました。


そのような点に触れますと、やはり怒ることは悪いことだという感じがします。


そこで、今回は“怒り”のメリットとデメリットをもう一度整理してみたいと思います。


先に怒ることのデメリットを考えてみましょう。

・人間関係がぎくしゃくする。

・後で後悔する。

・疲れる。

など、いろいろなことが考えられます。


人間関係や自己嫌悪など、メンタルに関するデメリットがまず思い浮かびますが、実は3つ目の“疲れる”にはそれ以外の意味があると思われます。


怒りによって血圧が上がり、動悸や不整脈などが引き起こされる場合もあるようです。また、ホルモンバランスにも影響を及ぼすことがあるようです。それによって入眠困難など睡眠にも影響があることがあります。


“怒り”は健康にも影響を及ぼすことがありうるということなのですね。


こう考えてみると、やはりなるべく怒らない方がよいということになります。


しかし、“怒り”の感情にはメリットもあります。

その一つにモチベーションにつながるというものがあります。


青色発光ダイオードの発明でノーベル賞を受賞された中村修二という方が受賞が決まった時の記者会見で「怒りがすべてのモチベーションだった。怒りがなければ何も成し遂げられなかった。」と話されていました。


“怒り”の感情だけが吹き出してしまうと、それは理性を失い、人や物に対して攻撃的に接してしまうことも考えられます。

しかし、そのエネルギーを社会的に認められたふさわしい目標(仕事やスポーツなど)に向けなおすことで、とても有意義に使えることができるかもしれません。(心理学ではこれを“昇華”といいます。)


“怒り”の感情は決して悪いものではありません。それを理性的に整理して、うまく昇華することができたら、私たちにとってとても大切な資源なのかもしれませんね。


寒い日が続いております。どうかお体にはご自愛ください。

              出典:勝因は怒り、日本企業に苦言も-中村さん時事通信
【 2019/01/19 】 未分類 | TB(0) | CM(0)

<アンガーマネージメント②>

こんにちは。心理士の井上です。

前回はそもそも怒りに対するマイナスなイメージを持たれている方が多いかもしれないというお話をさせていただきました。また、怒りにいくつかの種類があることもお話させていただきました。


今日はそもそも“怒り”とは何かを考えてみようと思います。

誰でも“怒り”を感じたことがあると思います。

これは突然湧き上がってくる感情だと思われがちですが、心理学では“怒り”は二次感情であると言われています。

つまり“怒り”の前に一次感情という別の感情が存在しているとなります。


では、一次感情とはどんな感情でしょうか。

例えば「わかってもらえない」ことからくる苛立ちや不安。

   「助けてくれない」という恐怖や悲しさ。

   「だいじにしてもらえない」という寂しさや悲しさ。

これらが一次感情であり、“怒り”の裏側にはこのような感情が隠れていることになります。


ずいぶん前ですが、学校ですぐにキレてしまい物を壊したり、人を傷つけたりしてしまう子と話す機会がありました。

その子と感情の整理(例えば、悲しいときはどんなとき?など)をしたところ、悲しいときと怒っているときに思い出す出来事が同じだったことがありました。

この子は怒りの背景に「僕のことをわかってくれなくて悲しい」という気持ちが隠れていたことがわかりました。

この子とはその後悲しい感情を一緒に話し合うことを続け、気持ちを整理することができるようになりました。


このように“怒り”の背景には何かしらの一次感情が隠れているんですね。


ただ、“怒り”という感情はとても強烈で衝動的でもあるため、その背景にある感情を探るのは難しいです。

そこで“怒り”の特性を知っていると、隠れている一次感情がわかるかもしれません。


その特性の一つに怒りの持続時間があります。一般的に怒りのピークは6秒と言われています。

そのため、この6秒間怒りを抑えることができれば、怒りに任せた衝動的な行動を押さえることが可能ということになります。

“怒り”を感じたらまず6秒耐えることが大切なことの一つであると言えそうです。

そうすると、“怒り”の背景にある一次感情が見えてくるかもしれません。


次回もまた、アンガーマネージメントについてお話させていただきます。



いよいよ冬らしくなってまいりました。どうかお体にはご自愛ください。
【 2018/12/15 】 未分類 | TB(0) | CM(0)

<アンガーマネージメント①>

こんにちは。心理士の井上です。


今日からしばらくアンガーマネージメントについてお話させていただきたいと思います。


アンガーマネージメントとは、“怒り”という感情のコントロールする方法のことを言いま
す。



アンガーマネージメントのお話をする前にそもそも“怒り”とはどんなものでしょうか。


一言で“怒り”といっても、考えてみるといろいろな種類の“怒り”がありますよね。


例えば、とにかく短気で怒りっぽい人もいれば、普段は短期ではないけれど、特定の場面
や人物に対してのみ激しい怒りが湧いてしまう人もいるかもしれません。


また、「それは怒ってもしかたない」と誰もが思える、いわば正当性のある怒りもあれば
、自分より不利な立場にいる人に対して別の原因からくる怒りをぶつけてしまう八つ当た
りのような不適切と言えるものもあります。



様々な“怒り”がありますが、特に適切な怒りというのは、人が社会の中で生き抜いていく
ためになくてはならない感情であると言えます。



しかしながら、“怒り”という感情に対して、特に日本ではマイナスのイメージがあります


私自身幼少の頃から親や学校の先生から、「怒ってはいけない。やさしい人になりなさい
。」というメッセージをたくさん受け取りました。


そんな中で、我々は“怒ることはいけないこと”“怒りという感情は持ってはいけないもの”と
認識しているのかもしれません。


先日、怒りを抑えることが難しいという方とお話する機会がありました。そこで、怒るこ
とに対してどんなイメージがあるかを聞かせてもらうと、「怒ることはダメなこと」と認
識しておられました。



しかし、本当に怒ることはダメなことなのでしょうか。



適切で正当性のある怒りは、とても大切な感情です。それをうまく表現できない結果、苦
しんでいる方も多くおられます。


自然な感情である“怒り”を抑えつけるのではなく、きちんと感じて、適切な形で表現する
ことがとても大切なことだと思います。



朝夕は肌寒くなってまいりました。どうかお体にはご自愛ください。
【 2018/11/17 】 未分類 | TB(0) | CM(0)

<つながるための前頭葉>

こんにちは。心理士の井上です。


前回、前々回と脳神経科学的な観点から、感情の生起やそれをコントロールする大脳新皮質、記憶をつかさどる海馬についてお話させていただきました。

今回は人(霊長類)に特徴的な大脳新皮質に関する仮説を紹介させていただきます。

体の重さと脳の重さの比率を考えると、人は他の動物と比べてとても大きな脳を持っています。

また、脳は人の体重の2%にすぎないのに、消費エネルギーは全体の20%も使っていると言われます。


なぜ人(霊長類)の脳は大きな脳を持つ必要があったのでしょうか。

その問いに対する仮説がマキャベリ仮説(社会脳仮説)と呼ばれています。


この仮説では、人(霊長類)は、集団で生活するだけでなく、親子関係などの社会的関係が強く、集団内での競争や協力も生じ、社会が複雑化していく中で、脳が爆発的に進化したのではないかという仮説です。


さらに、MRIなどの精密医療機器の発達により、そのことが証明されつつあるようです。

特に大脳新皮質には、他者とつながりたいという社会的な欲求や他者の心の情動を想像する機能があることがわかってきました。

また、その関わりあいの結果、他者からの評価や肯定や共感によって「生きる意欲」が湧き、それはさらなる脳の進化につながるそうです。


社会の中で人が他の人とコミュニケーションをとりながら生活していくことは、脳科学的にも必要なことだということになりそうです。

人とのつながりを欲するのは脳にとっては必然なのですね。


朝夕は肌寒くなってまいりました。どうかお体にはご自愛ください。
【 2018/10/21 】 未分類 | TB(0) | CM(0)