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<認知行動療法①>


こんにちは。心理士の井上です。

 これまでいくつかの“自動思考”についてお伝えしてきました。

 良いか悪いか、正解か不正解かのように極端な思考のどちらかになってしまう“全か無か思考”、一度の失敗ですべてがダメだと思ってしまう“過度の一般化”、全体の中でマイナスな点に注目してしまう“選択的抽出化”、ネガティブな責任はすべて自分のせいだと考えてしまう“自己関連付け”を紹介させていただきました。

 私自身、自分の思考を書き出したことがありますが、これまでにどの自動思考も体験したことがあります。場合によっては、その自動思考によりとてもつらい思いをしたこともあります。皆さんはいかがでしょうか。

 今日は、認知行動療法の目的をもう一度お話ししたいと思います。


 ある出来事が起きると、それを“認知”します。“認知”とはその出来事の受け止め方や考え方のことを言います。この“認知”によって、感情が湧きあがり、ときには体調や行動にも影響を及ぼすことがあります。そして、その“認知”の中に、瞬間的に自動的に湧き上がる思考があります。それが自動思考です。

例をもとに流れを整理してみましょう。

友達にメールをしたが返信がこない【出来事】
        ↓
嫌われているかもしれない【認知(自動思考)】
        ↓
悲しい・情けない・寂しい【感情】
外出しなくなる【行動】

認知行動療法は、この流れの中で“認知”や“行動”に働きかけ、バランスの良い思考や行動に変えていくことを目的としています。

ここで、注意したいことは、“認知行動療法はマイナス思考をプラス思考にすることが目的ではない”、ということです。

 例としてよく紹介されていますが、コップに半分入った水をどう捉えるかを考えてみましょう。

“半分しか入っていない”と考える場合、少し不安になるかもしれません。

“半分も入っている”と考える場合、安心できるかもしれません。

なんとなく、“半分も入っている”と考える方が、プラス思考で、気分が楽だと考えがちです。

しかし、この思考は場面によっては問題があります。

例えば、断水していて水の供給が止まっているときはどうでしょう。

“半分もある”と思って、水を飲んでしまえば、あとでたいへんな思いをするかもしれません。

 こう考えると、プラス思考が必ずしも良いとはかぎりませんよね。

大切なことは、自分の認知がどれだけ現実的かを判断することです。

そして、現実的でバランスのとれた考え方ができるようになることが、認知行動療法の目的ということになります。

 次回は自動思考にどう働きかけていくかを紹介したいと思います。

暑い日が続いておりますが、どうぞお体にはご自愛ください。

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【 2018/06/04 】 未分類 | TB(0) | CM(0)

<自動思考⑤>

こんにちは。心理士の井上です。

 これまでいくつかの“自動思考”を紹介しました。

 “自動思考”とは、出来事に対して自動的に頭に浮かんでくる考えのことでした。そして、この考え方のパターンによって、つらくなったり、苦しくなったりするのであれば、その考え方のパターン(クセ)を見直した方がよいと言えます。

 これまでいくつかの“自動思考”を紹介しました。

 今日はさらに、その“自動思考”の一つ、“自己関連付け”を紹介します。


 “自己関連付け”とはネガティブな出来事の責任はすべて自分にあると考えてしまい、自分以外の責任や原因を考慮しないことを言います。


 例えば、

 「近くの人が、チラッとこちらを見て笑って話していた。私の悪口を言っていたんだ。」


 チラッとこちらを見たのは偶然かもしれませんが、自分に関係のない出来事をすべて自分に結びつけて考えています。

 その場の状況から考えられる原因や可能性を考慮せず、「自分のことを笑って悪口を言っている」と自分が辛くなるようなことと結びつけてしまっています。

このような“自動思考”が強いと、絶えず周りから非難されているように感じたり、すべての失敗の原因が自分にあると考えてしまい、落ち込み方が激しくなってしまいます。

 さらに落ち込み方が強くなると、自分の存在自体を否定することになり、生きていくことも辛くなってしまうかもしれません。


 このような傾向がある場合、その出来事がうまくいかなかった原因を分析してみてはいかがでしょうか。

 そのとき原因として考えられることや別の考えを書き出してみるとよいと思います。

 先の例で、別の考えを探してみると、

・何か面白い話をしていたのかもしれません。

 ・こちらをチラッと見たのは、自分の方を見ただけで、自分を見たわけではなかったかもしれません

 ・そもそも私のことを知らないだろう。


このように、その時とは別の捉え方がないかを探してみるとよいと思います。

 直接確かめることができなくても、このように分析することで、自分の考え方のクセを知り、気持ちが少し楽になるかもしれません。


 日中は汗ばむ日も増えてきました。どうぞお体にはご自愛ください。
【 2018/05/05 】 未分類 | TB(0) | CM(0)

<自動思考④>

こんにちは。心理士の井上です。

 同じ出来事に対して、人それぞれ受け止め方が異なります。そして、そこには“自動思考”という考え方のクセのようなものがあることを紹介しました。

 これまで、その自動思考の中で、“全か無か的思考”と“過度の一般化”について紹介させていただきました。

 今回はさらに別の自動思考を紹介させていただきます。

 今日紹介するのは“選択的抽出化”というものです。

 全体の中のある1点だけに注意が向かい、その他の側面を無視する自動思考を“選択的抽出化”と言います。

 気分が落ち込んでいると、自分の悪い面だけに注意が向かってしまう悲観的な選択的抽出化となりがちです。

  「仕事でミスをしてしまった。辞めさせられるだろう。」

 極端な例ではありますが、それまでどんなに成果をあげていたとしても、注目しているのが目の前のミスだけになってしまって、最悪に事態に考えが向かってしまいます。

  「人から注意された。僕はダメな人間だ。」

 自分にとってのマイナスな体験が、あたかも自分の本質であるかのように自分にレッテルを貼ってしまいます。

 特別なメガネをかけて、世の中や自分のポジティブなことや明かることを見えなくしてしまうようなものですね。

 そのメガネをかけたままだと、意識に上がってくることはネガティブなことばかりになります。そしてこのようなフィルターがかかっていることに気づかないと、世の中全体が暗闇のように感じられるかもしれません。

 このような思考から抜け出すにはどうすればいいでしょうか。

 特別なメガネ(フィルター)をかけていないか検証することが必要です。

 その出来事に対する他の見方はないだろうか、と思いを巡らせてみるのです。
 
 もしかしたら、そのミスは、仕事のシステムの中に問題点を見つけ出すヒントになっているかもしれません。

 もしかしたら、注意した人はあなたに期待をして言ってくれたのかもしれません。

 同じ出来事の捉え方は多面的です。

 ここで注意してほしいことは、他の見方を探すというのは、選択的抽出によるネガティブな思考を否定するということではないことです。

 ネガティブな見方も、出来事の理解の仕方(思考)の一つです。

 それを否定せず、別の方向から光を当てると、どんな考え方があるかを探してみるイメージです。

 新たな見方を見つけることができると、気持ちが少し楽になるかもしれません。

 ネガティブと思われる出来事に出会ったら、一度考えてみてくださいね。

 過ごしやすい気候になりましたが、朝夕はまだ寒い日もあります。どうぞお体にはご自愛ください。
【 2018/04/07 】 未分類 | TB(0) | CM(0)

<自動思考③>

こんにちは。心理士の井上です。

人はそれぞれ考え方にクセを持っていて、そのクセによっては不安になったり、鬱状態
になったりすることがあるということでした。

また、その考え方の1つに“全か無か的思考”があることをお話しさせていただきました。
今日はさらに、他の考え方のクセ(思考パターン)を紹介させていただきます。

今日紹介するのは“過度の一般化”というものです。

毎日の生活の中で人は、1度や2度失敗することがあります。また、悪い出来事が起こる
こともあります。

“過度の一般化”とは、そのような体験を、常に起きることだと思ってしまう思考パター
ンのことをいいます。

例えば、友達に少し注意されただけで、その友達は自分のことをダメな人間だと思って
いる、と思い込むことがあるかもしれません。
数回、試験で低い点数をとっただけで、自分は人よりできが悪いと思い込んでしまうこ
とがあるかもしれません。

このように嫌なことが一度(数回)起こると、それが今後も同じように繰り返し起こる
と感じたり、すべてがそうだ、と思い込んでしまうことを“過度の一般化”と言います。

“過度の一般化”でよく使われる言葉は、「いつも」「みんな」「絶対」などです。
「私はいつも失敗ばかりしている。」
「みんな私を嫌っている。」
「絶対失敗する。」
このように言ってしまうと、本当はできる力があるのに、できずに終わってしまったり
、人間関係がうまくいかなくなったりするかもしれません。

 「いつも」「絶対」「みんな」という言葉が思考の中にあるときは、“過度の一般化”思
考に陥っているかもしれませんね。

 このような思考から抜け出すにはどうすればいいでしょうか。
 まず、起こった事実を正確に把握するとよいと思います。事実のみを書き出してみると
、冷静に考えることができるでしょう。
 また、本当にそうなのか、例外(反証)はないかと、自分の考えが本当に正しいのか検
証してみることもよいと思います。

 習慣化した思考パターンを改善することは難しいですが、こうすることで自分の考え方
のクセに気がつくことができ、これを繰り返すことで思考のクセを改善することが可能で
す。

朝夕と昼の気温に差があり体調を崩しやすいですが、どうぞお体にはご自愛ください。
【 2018/03/13 】 未分類 | TB(0) | CM(0)

<自動思考②>

こんにちは。心理士の井上です。

前回〈自動思考〉についてお話しさせていただきました。

人はそれぞれ考え方にクセを持っていて、そのクセによっては不安になったり、鬱状態になったりすることがあるということでしたね。

今日はその考え方のクセ(思考パターン)の1つについてお話ししたいと思います。


考え方のクセの1つに“全か無か的思考”(2分割思考)というものがあります。

良いか悪いか、完全か不完全か、〇か×か…など、二者択一的な捉え方です。


例えば、仕事の同僚や友人と話をしている場面を思い浮かべてください。そのときに相手の方が少し不機嫌だったとします。そうすると、「自分のことが嫌いなんだ」と思ってしまう人がいるかもしれません。

他にも例えば、テストを受けて80点を取ったとしましょう。100点でなければだめだという思考が強いと、せっかく80点取れているのに、0点を取った気分になってしまう人がいるかもしれません。
 
 
二つの例で示した思考パターンが、“全か無か的思考”です。

全か無か的思考の下では完璧が求められます。言いかえれば、完璧でないことはすべて失敗ということになってしまいます。
 
結果が完璧である場合は問題ないですが、現実的にすべてのことが完璧にいくことはほとんどないです。

そして、完璧でなかった自分はダメな人間だと思ったり、今まで努力してきたことはすべて無駄だったと思ったりするかもしれません。

こう考えると、とても辛い考え方のクセに思えますね。

しかし、すべてがマイナスではありません。

この思考が強いと、学業や仕事などで質の高い結果を出すことが多いかもしれません。その結果、周囲の信頼を得て、自信につながることも多いと思います。

ただ、全か無か的思考が自分を追い詰めているときがあるかもしれません。そんなときは、それに気づいてゆるめるようにコントールできればよいと思います。

まずは、自分の思考に気づくことが大切です。

私たちは、日常生活の中ではまさに“自動”的に考えてしまうので、意識しないと考え方が偏っていると気づけません。

ストレスを感じたときに「いつも~である」「絶対に~である」「決して~ない」と考えていないかチェックしてみましょう。

そして、全か無か思考に気づいたら、その考え方を少し緩めるために、“一方(or)ではなく両面を認める(and)”考え方をしてみましょう。

「成功か失敗か」(or)ではなくて、「成功もあれば、失敗もある」(and)と考えてみるのです。

「できるかできないか」(or)ではなく「できるときも、できないときもある。」(and)

こう考えていくと、全か無かと断定的にならず、ゆったりと考えられると思います。



まだまだ寒い日が続きますが、どうぞお体にはご自愛ください。
【 2018/02/10 】 未分類 | TB(0) | CM(2)