こんにちは。心理の亀山です

秋風が冷たく感じるようになってきましたね。
それでも、これまでの暑さに比べれば、過ごしやすい季節になりましたでしょうか。
今回は、“
うつ病「心の痛みは身体に表れる」”と題して、自分の心の疲れや不調に気づくことの大切さについてお話しさせて頂きます。
うつ病は世界中で121万人もの人々を苦しめていると言われており、WHOの 統計では世界人口の3~5%がうつ病であると報告されています。日本でも大きな問題となっており、日本人の7.5%の人がうつ病の経験者であると言われています。
多くの人がうつ病で苦しんでいるということだけでなく、
うつ病を発症しても、医療機関に相談に訪れる人が少ないことも問題となっています。日本人の7.5%のうつ病の経験者のうち、医療機関を受診した人は4分 の 1だと言われているのです。
うつ病とは、脳の機能が変化して精神的なエネルギーが低下している状態です。ですから、憂うつで落ち込んでいる状態ばかりを指すのではなく、「楽しみを感じられない

」「意欲がわかない

」と感じるような精神的エネルギーが低下している状態も含みます。
うつ病を発症している人の中には、自分が心の病を発症していることを気づかずに、そのまま放置している人がいます。長い間放置すると、うつ症状の他に複合症状が出る場合があります。頭痛、動悸、腹痛、不眠、肩こり、身体の冷えなどです。身体に不調が表れるわけです。しかし、心の病が原因だと気づかないので、専門医の治療を受けるまで、ずっと苦しい状態が続いてしまいます。
身体の不調を早く治すには、
早く心の病だと気づくことです。心の病に気付くには、
自分の心に関心を持ち、普段からストレスに注意をすることが大切だと思います。ストレスがたまっていても、なかなか自分では気づきにくいものです。
では、どうやってうつ状態に気づけばいいのでしょうか

ストレスがたまってくると、気持ちや身体の状態、生活パターンなどにいつもと違う感じが出てきます。“いつもと違う感じ”が出てきたら、注意した方がいいかもしれません。
次に挙げる項目のうち、心当たりがあるようなら、ストレスがたまってうつ状態になっている可能性があります。チェックしてみましょう

① 毎日の生活で充実感が感じられない。
② いつもの自分と違う感じがする。今まで楽しんでやれていたことが、楽しめない、興味がなくなってしまった。
③ これまではすんなりやれていたのに、前よりも時間がかかるようになった。
④ 自分は役に立つ人間だと考えられない。悲観的に考える。
⑤ わけもなく疲れたような感じがする。
⑥ 神経質になり、心配事が増える。
⑦ 家族に怒鳴ったり、辛く当たってしまう。イライラする。
⑧ 原因が分からないが、体調不良が続く。頭痛、腰痛、胃痛、めまい、下痢や便秘、息切れ、寝つきの悪さ、食欲不振など。
こうした症状が2週間以上続いているなら、注意した方がいいかもしれません。「朝起きることができない」「学校や会社に行くことがおっくうだ」「前日は行こうと思っても、当日になると体調が悪くなる」など、日常生活が思うようにいかなくなることも考えられます。そうした場合には、一人で頑張り過ぎずに周りの人や医療機関に相談してみてください

自分の心と向き合うことは、時に、苦痛を伴うことがあります。例えば、ストレスがたまって自分の心が弱っていると考えることに、苦痛を感じるかもしれません。「もっと頑張れるはずだ」「周りに弱みをみせたくない」「人に頼るのが恥ずかしい」「自分がそんなに弱いわけがない」と思うかもしれません。
確かに、頑張ることや自分一人で課題をこなすことは、一般的に推奨されることです。しかし、困った時には一人で頑張りすぎず、心の「手当て」がすぐにできる柔軟さも大切だと思います。うつ病は弱々しい人 がなるようなイメージがあるかもしれませんが、実際には有能な人や頑張る気持ちの強い人、責任感が強い人ほど、うつ病になりやすいこともあるのです。
勇気のいることだと思いますが、弱った自分も自分として受け入れられること、場合によっては人に頼る力も大切なことだと思います。
これから朝夕冷えてまいりますので、どうぞご自愛ください

引用文献・参考文献
『こころが晴れるノート』 大野裕 創元社 (2010)
『今すぐ役立つ心の痛み解消法』 浅川雅晴 KKロングセラーズ (2011)