こんにちは

心理の亀山です。落ち葉が風に舞う頃となりましたね

前回は、うつ病について、心の不調に気づくことの大切さについてお話ししました。今回は、心の不調に気づいて、「気分が塞ぎこみがちだな」「やる気が何だか起きない」と思ったときに、ご自身でできる対処法についてご紹介したいと思います。
1.
たっぷりと睡眠時間をとりましょう。
“快眠”は、健康状態のよい指標になると考えられています。日々の生活の中で感じるストレスから、心や体に疲れが出てきているようでしたら、まずは、良好な睡眠を確保しましょう。例えば、まずは睡眠時間を長めにとってみたり、休日などは昼寝の時間も確保して心身ともに休息がとれるようにするとよいと思います。
2.
人と関わる機会をつくりましょう。
心身がまいってくると、誰とも会いたくなくなってくることがあります。ですが、いろいろな問題を一人で抱えてしまってそこからなかなか抜け出せない場合には、他者の力が役に立つことがあります。誰か信頼できる人、例えば、家族、友人、恋人、上司、同僚など、相談を持ち掛けてみてもいいかもしれません。話すこと自体がストレス発散になりますし、ときには適切な助言を得られるかもしれません。
3.
自分なりのリラックス法を工夫しましょう。 周りに気を張って生活していると、心も体も緊張状態が続いて、なかなかリラックスすることができません。そうした緊張感をほぐすために、様々なリラックス法を工夫してみましょう。例えば、絵画鑑賞や美しい景色の場所に出かけることが挙げられます。脳に入る約80%の情報は、視覚による情報です。ですから、悩んだり、落ち込んだりした時には、視覚から情報を取り入れてみるのもいいかもしれません。
他には、ぬるめのお湯にゆっくり浸かる、足の裏をマッサージする、湿布や体操をして肩こりをほぐす、深呼吸、ストレッチをする、適度な運動をしてみるのも一つの方法です。
うつ病に対する運動の効果は近年注目されていることです。イギリスのガイドラインでは、軽度のうつ病に対して、45分ないし1時間の運動を週3回、10~12週続けることが推奨されています。「けっこう多いな

」と思われるかもれません。確かに、ただでさえ意欲が出てこない時に、これほどの運動をすることは難しいと感じられるかもしれません。
運動を取り入れるときには、
無理をしないことが大切です。「~しなければ」より、「~したいな」「~出来そうだな」という身体の声を正直に取り入れていきましょう。
また、ご自身の一日の生活の中での、
調子や気分の変動に合わせて、運動を取り入れることも大切です。一般的に、寝起き、午前中の調子が悪く、午後、夕方から夜にかけて徐々に調子が上向いてくという変動が多くみられます。自身の調子に合わせて適切な運動を取り入れていきましょう。では、具体的にはどのように運動を取り入れていけばよいのでしょうか。
朝(起床時) 一日の内で、一番調子が出なかったり、低調な時間帯だと考えられます。この時間帯には、睡眠時の凝りをとり、午前中の準備をするような運動を取り入れることになります。例えば、ストレッチやマッサージなどです。意識しなくても布団の中で伸びをして体をほぐしている方もいると思います。
午前 運動は、リラックスをすることを目的に取り入れていくとよいと思われます。散歩やストレッチ、ヨガなど、短い時間で、ゆったりとできる有酸素運動を試してみてもいいかもしれません。
午後 一日の内で、一番運動に適している時間帯だと考えられます。自身の体力や調子に合わせて、身体を動かしましょう。もしテニス

やサッカー

などの負荷の高い運動を取り入れようとお考えなら、一般的にこの時間帯が適しています。ただし、運動の経験が豊富でない人は、膝や腰を痛める可能性があります。専門家に相談しながら運動を行うのが安心です。
夕方 体は動きやすい時間帯だと考えられます。しかし、運動の目的は、睡眠導入に向けたクールダウンです。一日の疲労をためないこと、身体がぽかぽかしてくる程度の軽い運動を行ないましょう。例えば、ストレッチ、ヨガ、エアロバイクなどです。
夜 引き続き、体は動きやすく感じられるかもしれません。しかし、夕方同様に、睡眠導入のために運動を取り入れることを心がけましょう。ストレッチやマッサージなどで、一日の疲れを労り、体の凝りをとります。また、部屋の明かりを暗めにしたり、リラックス系のアロマをたくなど、睡眠環境を整えることも大切です。また、こちらのブログでも紹介した、認知行動療法で使われる呼吸法などのリラックス法を試してもいいかもしれません。
秋から冬へ、季節の流れは早いものですね。風邪などお召しになりませんように、お体を大切になさって下さい

引用文献
『こころのりんしょう a・la・carte』第29巻第4号(No.124) 2010年12月25日発行 星和書店