こんにちは

心理の亀山です。
紅葉の季節を迎えましたね


落ち込む気持ち②では、抑うつ状態だと悲観的に物事を捉えやすいことに触れ、悲観的な方ばかりでなく、バランスよく物事をみていくことが大切であるとお話ししました


しかし、バランスよく物事をみていくと言っても、具体的にはどうしていけばいいのでしょうか

このヒントとなることとして、認知療法では、感情と認知の関係をみていくことをお勧めしています。実のところ、「抑うつ状態」という
感情と、物事の捉え方である
認知は深く関係しています


こうした感情と認知の関係について、認知療法では感情を大きく4つのグループに分けて考えます


それは、「抑うつ状態」「不安状態」「喜び」「怒り」です。
それらの感情はどのような認知と関係しているのでしょうか


次にご紹介します。
「抑うつ状態」 大事なものを失うという喪失体験と関係があります

それが大切であればあるだけ、気持ちは沈みます。
気持ちが沈んでいる場合には、自分自身について、周りで起きていることについて、そして将来について悲観的に考えるようになります

意欲がなくなり、消極的になり、自分の世界に引きこもるようになっていきます。そのため、ますます人とうまく付き合えないようになり、更に気持ちが沈んでいきます。悪循環が進めば、抑うつ状態の程度も強くなっていきます
「不安状態」 危険に関連した認知と関係があります。ドキッとして体が緊張し、冷汗や動悸がしてきます

危険な状況から逃げ出したいと考え、実際に回避しようともします

特に、自分に自信が持てないとますます不安が強まります。「その問題を解決する手段がない、だからその危険に対処できない」と考えるような状況です
「喜び」 何か重要なものを手に入れたという認識、つまり獲得感と関係しています

うれしい気持ちになれば、いつもより活動的になります。
「怒り」 被害感と関係しています。「人が自分に不当な仕打ちをしている」などと思った時に、怒りの感情は湧いてきます

特に、相手の行動や態度が不当で理不尽なものに見えれば見えるほど、その気持ちは強くなります


このような感情と認知の関係をみていく際、認知の内容と現実とのずれに注目することが大切です


例えば、上司に同僚の前で叱責を受けたことをきっかけに、気持ちが落ち込んでいる場合を考えてみます。「同僚にかっこ悪いところをみせてしまった。私のことをどう思ったのか」と、多くの人が落ち込んだ気持ちになると思います。
心には、様々な考えが浮かんでくることだと思います。しかし、その考えの中には思い込んでいる部分もあります

例えば、「周りの人は自分を馬鹿にしている」「自分は仕事ができないんだ」「上司からの評価は悪いだろう。昇進は望めない。もう何をしても無駄だ」と思っているとして、それはどの程度現実的なのでしょうか


本当に周りの人から評価されていないのでしょうか、本当に何をしても無駄なのでしょうか。あわてて結論を出す前に、まずそれを確かめてみることが大切です

もし認知の内容と現実のずれがあるならば、そのボタンの掛け違いを掛け直していきます。
もしかしたら、同僚はそれ程気にしていないのかもしれませんし、努力を評価してくれている人もいるかもしれません

色々な可能性があるのです。それらにも目を向け、認知の内容と現実のずれを見直していくことで、辛い感情が少しでも和らぐかもしれません


冬が近づいているようです。皆さまお体にお気を付け下さい
引用文献・参考文献大野裕 (1990). 「うつ」を生かす―うつ病の認知療法 星和書店
スポンサーサイト