こんにちは。心理士の亀山です


まだまだ厳しい寒さが続いていますね

春の陽気を早く身に感じたいものです

落ち込む気持ち④では、
自分の持っている考え方を色々な点から、客観的にみていくことが大切であるとお伝えしました

では、客観的にものごとをみていくためには、どうすればよいのでしょうか
自分の中にある考え、思い込んでいる悲観的なイメージを再検討するわけです。
自身の凝り固まった考えを再検討するのは、容易ではありません。とても頭の中だけで考えているだけでは難しいものだと思います

一つ例を挙げて考えてみましょう


Aさんは、入社して3年目の会社で、事務の仕事をしています

新しい仕事も任され始めましたが、どうも仕事量が多く、新しく覚えることも増えて、仕事がはかどりません。上司に質問する回数も増えて、最近、それを引け目に感じるようになりました。
Aさんは「上司は私のことを迷惑がっているのだ。私は仕事の出来が悪い。私が仕事の質問をすると、嫌な顔をするにちがいない」という考えを持つようになりました。そのため、分からないことがあっても確認することができず、分からないまま仕事をして、余計にミスをし、叱責されることが増える悪循環が起きるようになりました


Aさんは、自分の悲しい想像の中で苛まれています

そして、その考えがAさんの行動を消極的にさせ、悪循環を起こしています。
悪循環を断つにはどうしたら良いでしょうか。一つの方法として、
元の“考え”を再検討する事が挙げられます


再検討するためには、何が必要でしょうか

自分一人で考えても、同じ思考を行ったり来たりするだけかもしれません。
そこで、勇気を出して、
事実を知るために行動するというのも一つの方法です。行動することで、分かることもあります。現実に行動して自分の考えや感じ方が偏っていれば、新たな発見です

ここで疑問に思う方もいらっしゃると思います。「行動するようなエネルギーはない」と感じて、到底できそうにないと思う方もいるかもしれません

気持ちが沈み込んでいると、行動すること自体が辛いと感じられます。悪い結果が起こると「分かっている」ように思えて、大きな苦痛を伴うこともあります

「頑張らなくては」という思いが、かえって負担になることもあります。
行動をする際には、できる範囲で行うことが大切です

Aさんの場合も、
できる範囲で実際に行動をして、自分の考えを検証してみることが大切です。最初は、上司の目を見てみることから始めてもいいのです。些細なことでも、何か問題解決に向けてできることがあるというだけで、気持ちに張りが出てきます

もし出来そうであれば、その上司に相談してみるのも手です。思い込みは一時停止して、目の前にいる上司に集中します。話はきいてくれたのか。質問をした時には、どのような表情だったか。どんな言葉をかけられたのか。
そして、その時に体験したことと、自分が考えていたことを比べてみます。そこにずれがあるならば、考えを再検討してみます


本当に上司は嫌そうな表情で話をきいたのか、注意や叱責ばかりの言葉だったのか、色々とある懸念を検討してみます。例えば、もし想像していたよりも「自分の評価が落ちていない」と分かったなら、不安な気持ちが和らぐかもしれません。
このように、一つでも自分に出来そうなことから行動してみることは、
一つのきっかけとなります

皆さんも、日常で怖くて踏み出せないということがあったら、些細なことでも出来る範囲で行動してみるのもいいかもしれません

では、寒さ厳しく冷え込んでいますが、くれぐれもご自愛ください

引用文献・参考文献
大野裕 (1990). 「うつ」を生かす―うつ病の認知療法 星和書店