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分離不安について

こんにちは、心理士の伊藤です
梅雨の季節になりました
雨が続いていますが、この時期は川や山などは風情がより出てくる気がします
日本や和をより感じられる季節だと思います

さて、今回は分離不安についてお話したいと思います。

生まれて間もない赤ん坊は、信頼し安心できる母親のふところに抱かれ、全面的に依存しています。
しかし生後6カ月から3歳ぐらいまでの間に、それまでの密着融合的、共生的関係が変化し、
自分は母親とは異なる独立した存在であるという意識を持つようになります。
そして幼児的万能感が満たされた世界とは別れ、徐々に現実世界にさらされていきます。
アメリカの小児科医で精神分析家のM.マーラーはこの段階を「分離・個体化段階」と名付けました。

母親(またはその代理人物)から引き離される時に子供が示す不安を「分離不安」と言います。
この不安自体は病的なものではなく、むしろ良好な母子関係の表れです。
そして思春期における子どもの完全な独り立ちに際しても、依存と独立をめぐる葛藤の中で、
この分離不安が無意識に作動します。

しかし、分離不安を伴う分離・個体化段階は、危機的な段階にもなります。
例えば、母親から十分な愛を受けないままに分離の段階を迎えた場合や、
分離・独立に際して母親が幼児と適切な距離を取ることができない(子離れ出来ない)場合、
強い分離不安が生じ、幼児にとってトラウマとなります。

これが思春期において不登校の原因となったり、
境界性パーソナリティー障害や自己愛性パーソナリティー障害につながるとの指摘があります。

マーラーによれば、分離不安に打ち勝つには
、愛情深く庇護(ひご)的な「良い母親」との同一化、内在化が必要と言っています。
つまり物理的に離れていても、母親のイメージやその庇護と愛情が、心の中で支えとなっていることが要求されます。
これに支えられて幼児は個人としての自己を自覚し、この後の人生を一人歩きするための基盤を形成することになるのです。

じめじめとした日が続きますが、体を大切にしてお過ごしください

参考・引用文献
心の病と精神医学 影山任佐
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【 2015/06/23 】 未分類 | TB(0) | CM(0)

アサーティブなお話の聴き方

こんにちは。心理士の筒井です
久しぶりにブログを書かせていただきます。
どんなテーマがいいかなって考えたのですが、最近の出来事で、『すごいな、真似していきたいな』と感じたことを書かせていただきたいと思います。

テーマは『アサーティブなお話の聴き方』です
先日、ある勉強会に参加しました。
少人数のグループですが、その日は私が発表をする担当でした。
その時に一緒に参加されていたAさんが、私の報告を聞きながら、「そうか」、「なるほど」と相づちを打ってくれたり、丁寧に順を追って質問してくださいました。

報告の内容にはあまり自信がなかったのですが、自分なりに時間をかけて準備した発表だったので、Aさんの積極的に聴いてくださる姿勢がとてもうれしかったです。
『頑張って準備してよかったな』
『一緒に考えてくれてうれしかったな、またこのメンバーで話をしたいな』

そんな思いになりました

テーマにあげた『アサーティブ』という言葉ですが、このブログでもしばしば紹介されているアサーショントレーニング(自己表現のトレーニング)の『アサーション』の形容詞になります。
平木(2009)によると「アサーションには、歩み寄りの精神があり、多少時間はかかっても、お互いを大切にし合ったという気持ちが残る会話があります。…(中略)…そんな相互尊重の体験をすることがアサーションです」とあります。

アサーショントレーニングというと、どちらかというと、適切な自己表現ができるように『自分が伝えること』に主眼を置いて、コミュニケーションをより良くしていこうと考えがちになってしまいます。
ですが、先日、私が体験したように、『聴くこと』によっても、その人の率直さや、素直さ、相手を尊重する姿勢といった〈自己表現〉が可能なのだと実感しました。

今度、私がだれかのお話を聴く時には、ぜひ、Aさんの『相手を尊重し、積極的、能動的に聴く姿勢』を真似させいただこうと思っています。
最初は『ヒト真似』になってしまうかもしれませんが、しだいに自分らしさのひとつになっていくといいなと思っています。

では、梅雨が近づき、思いのほか寒暖差がある日が続いています。
どうぞお身体ご自愛ください。

引用・参考文献
平木典子 アサーショントレーニング さわやかな〈自己表現〉のために(2009)金子書房
【 2015/06/18 】 未分類 | TB(0) | CM(0)

ストレス②

こんにちは。心理士の亀山です

先日、大輪の花を咲かせた紫陽花の花を見つけました梅雨冷えが肌寒い季節ですが、いかがお過ごしでしたか?

ストレス①では、内的・外的ストレスについてご紹介し、自分の周りで起こった出来事について振り返ってみました

今回は、ストレスの良い面についてお話ししたいと思います。ストレスというと、マイナスのイメージの方が強いと思います。しかし、すべてのストレスが悪いものではないのです生活を活性化したり、変化を促したり、問題を解決させる動機になったりします。

良いストレスと言えるAさんの例をみてみましょう

Aさんは3年目の営業マンです。新人にしてはなかなか優秀な成績をおさめており、課長からの覚えもめでたいようです課長から、新入社員に向けた研修の一環で、営業マンとしての体験談を話してほしいと言われました

実のところ、Aさんは多くの人の注目を浴びることは少し苦手に感じていましたなので、課長からの頼みに躊躇する気持ちもありました。課長からは、「話す練習をすれば大丈夫だ」と言われました。しかし、Aさんのドキドキは収まりませんでも、課長には認めてもらえているようですし、後輩からも憧れの目で見られるだろうと思うと、少しだけわくわくしてきました

このように、良いストレスは、人をどきどきさせるのと同時に、わくわくさせます。Aさんは、大勢の前で話すことに不安を感じていましたが、同時に、発表を任されたことにわくわくしています。難しいことにもチャレンジしてみようという気持ちにもさせてくれるのです。この場合は、良いストレスと言えるでしょう

良いストレスは適度な緊張感をつくり、仕事のやりがいや意欲を高めます。生活の質が向上したり、知恵や記憶力・創造力を高めたりすることができると言われています

一方で、もしAさんが、人前で話すことが怖くて、辛い気持ちばかりが高まっていくと、発表は良いストレスとは言えません。イライラさせたり、怖がらせたり、悲しませたりします

皆さんも、最近のことを思い出してみてください良いストレスになった出来事や状況はありましたか?

では、梅雨冷えの肌寒い日もありますので、どうぞご自愛ください

引用文献・参考文献
スーザン・R・グレッグソン ストレスのコントロール 大月書店
【 2015/06/17 】 未分類 | TB(0) | CM(0)