こんにちは。心理士の筒井です。
台風が過ぎてもすっきりとしない天気が続いています

この時期、体調を崩される方も多いのではないかと思いますが、みなさんはいかがでしょうか。
『アンガーマネジメント』という言葉をご存じでしょうか?
『アンガー』とは、イライラや怒りのことです。
『マネジメント』とは、『上手く付き合う』とでも言えるでしょうか。
つまり
、『アンガーマネジメント』とは、自分のイライラや怒りの感情をコントロールしてうまく付き合っていく方法を学ぶプログラムになります。最近、カウンセリングのなかで、このようなプログラムに取り組む機会が増えてきました。
『イライラ、怒り』と聞くと、あまりよくないもので、できれば感じなくて済むと楽なのに、と思われるかもしれません。そんな少し厄介者(?)のような感情ですが、付き合ってみると意外と繊細で重要な感情でもあります。例えば,憤りが原動力になって,新たな試みに挑戦できることもあると思います。怒りという大きな心のエネルギーは,破壊的にもなりますが,うまく御すことができれば大きな推進力にもなります

また,
ひとくくりに怒りの感情と言っても,その内にはさまざまな感情が入り混じっていることに気づきます。特に,そういった感情の機微に耳を傾けていくと,傷つきや悲しみの怒り,心配のあまり怒れてしまうこと,不安や動揺をかき消すかのような怒りなど,さまざまな怒りの声が聞こえてきそうです

怒りを表す言葉も,人それぞれに違っていますよね。
児童精神科医の佐々木(1998)は,近年になって『怒り』の感情を表す言葉がつぎつぎに増えていくことを指摘しています。「いらいらする」,「腹が立つ」といった表現ではおさまりがつかずに,「頭にくる」,「ムカつく」,「キレる」という風に,語感からも怒りがどんどんエスカレートしていく様相がわかるのではないでしょうか

このなかで,佐々木は,こんな点も危惧しています。
「…一方で,私たちのまわりに怒りの表現に匹敵するような,喜びとか悲しみを表現する言葉があるかというと,ないのですね。現代人は,『うれしいな』と思う感情を,「うれしい」という言葉でいえば,もうそれで十分なわけです。喜びの感情を,もっと大きな表現でするほどの喜びは,なくなってしまったのですね,あるいは喜びがあっても感じなくなっているのです。悲しみもそうです,『悲しいな』なんていうことを言っている人は,めったにいないですね。…」
少し引用が長くなりましたが,このような視点も『怒り』に耳を傾けるなかで心に留めておきたいなと思っています。
みなさんの『怒り』は,普段どのように表れてくるのでしょうか,また,それに匹敵するような他のさまざまな感情をどのように味わっていますか?
今回は,『アンガーマネジメント』の紹介かたがた,『怒り』について考えてみました
怒りの感情は,激しさと裏腹にデリケートな感情だからこそ、じっくりと向き合うことで、自分自身を深く理解でき,成長へとつなげていけるのかもしれませんね。『秋の夜長』を感じられるようになってきました

そのような時に、ゆっくりと自分のための時間をとれたら素敵ですね。
どうぞお身体ご自愛ください。
引用文献: 佐々木正美著 『子どもへのまなざし』 1998,福音館書店