<泣くから悲しい?悲しいから泣く?>
こんにちは。心理士の井上です。
泣くから悲しくなるのか、悲しいから泣くのかと言われたら皆さんはどのように答えますか?
感覚的には、“泣くから悲しい”よりも、“悲しいから泣く”ほうがしっくりくるかもしれません。
では、心理学的にはどう考えられているのでしょうか。
そこで今日は、感情の理論を紹介させていただきます。
心理学における感情の理論は大きくは3つほどあります。その3つとは、“抹消起源説”・中枢起源説“・2要因説”です。今日は、そのうちの“抹消起源説”を紹介したいと思います。
“抹消起源説”は、それを最初に提唱した人の名前から“ジェームス・ランゲ説”とも呼ばれます。
抹消とは、末梢神経をさしていて、脳やせき髄などの中枢神経に対する言葉です。つまり、脳などの中心ではなく、身体の各部分を指す言葉と言えます。
“抹消起源説”では、「泣く」や「笑う」などの身体的な(表面上の)変化が、脳に影響を及ぼし、「悲しい」や「うれしい」という感情を生起させるという考え方です。
この考え方は“脳で生まれた感情をもとに生理的変化が生じる”という一般的な考え方(これを中枢起源説と言います)とは逆なために、批判の多い説でもあります。
しかし、近年の心理学では、例えば“作り笑い”をしていると、気分が良くなり、落ち着いてくるという研究結果が示されています。
私たちは多くの場合、楽しいから笑い、悲しいから泣きます。その一方で、笑うと楽しくなり、泣くと悲しくなることがありうるのです。
今日は“抹消起源説”に焦点を当てましたが、また次回その他の理論についても紹介させていただきます。
まだまだ寒い日が続きますが、どうぞお体にはご自愛ください。
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