こんにちは。心理士の井上です。
前回・前々回と感情がどのように生まれるのかについての二つの理論をお話しさせてい
ただきました。
“泣くから悲しくなる”の抹消起源説・“悲しいから泣く”の中枢起源説を紹介させていただき
ました。
今日はこの二つに続く第3の説を紹介させていただきます。
それは、心理学者のシャクターという人が提唱した“情動2要因説”です。
この理論では、“喜び”や“悲しみ”などの人間の情動(感情)は、生理的反応とその反応を
どのように認知するかによって決まるとされています。
生理的反応というのは、“笑う”や“泣く”や“ドキドキ”のことです。その反応をどのように
認知するかは、例えば“泣く”という生理的反応を、怒っているから“泣いている”とか、悲し
いから“泣いている”と、どうしてその反応が起きているのかを捉えることを意味していま
す。
この説で説明できる有名なものに〈つり橋効果〉というものがあります。
つり橋を異性と一緒に渡った時とそうでない時では、つり橋を渡った時のほうがその異性
を魅力的な人だと思うという実験結果があります。これは、つり橋を渡るときの怖さから
くる“ドキドキ”を、一緒に渡っている異性への恋愛感情の“ドキドキ”と勘違いしてしまうと
考えると説明できます。
3回にわたって、3つの感情理論を紹介させていただきました。どれか一つが正しいとい
うものではなく、それぞれで説明可能なものとそうでないものがありそうですね。
暖かい日が続きますが、時々肌寒さもあります。どうぞお体にはご自愛ください。
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