こんにちは。心理士の井上です。
前回〈自動思考〉についてお話しさせていただきました。
人はそれぞれ考え方にクセを持っていて、そのクセによっては不安になったり、鬱状態になったりすることがあるということでしたね。
今日はその考え方のクセ(思考パターン)の1つについてお話ししたいと思います。
考え方のクセの1つに“全か無か的思考”(2分割思考)というものがあります。
良いか悪いか、完全か不完全か、〇か×か…など、二者択一的な捉え方です。
例えば、仕事の同僚や友人と話をしている場面を思い浮かべてください。そのときに相手の方が少し不機嫌だったとします。そうすると、「自分のことが嫌いなんだ」と思ってしまう人がいるかもしれません。
他にも例えば、テストを受けて80点を取ったとしましょう。100点でなければだめだという思考が強いと、せっかく80点取れているのに、0点を取った気分になってしまう人がいるかもしれません。
二つの例で示した思考パターンが、“全か無か的思考”です。
全か無か的思考の下では完璧が求められます。言いかえれば、完璧でないことはすべて失敗ということになってしまいます。
結果が完璧である場合は問題ないですが、現実的にすべてのことが完璧にいくことはほとんどないです。
そして、完璧でなかった自分はダメな人間だと思ったり、今まで努力してきたことはすべて無駄だったと思ったりするかもしれません。
こう考えると、とても辛い考え方のクセに思えますね。
しかし、すべてがマイナスではありません。
この思考が強いと、学業や仕事などで質の高い結果を出すことが多いかもしれません。その結果、周囲の信頼を得て、自信につながることも多いと思います。
ただ、全か無か的思考が自分を追い詰めているときがあるかもしれません。そんなときは、それに気づいてゆるめるようにコントールできればよいと思います。
まずは、自分の思考に気づくことが大切です。
私たちは、日常生活の中ではまさに“自動”的に考えてしまうので、意識しないと考え方が偏っていると気づけません。
ストレスを感じたときに「いつも~である」「絶対に~である」「決して~ない」と考えていないかチェックしてみましょう。
そして、全か無か思考に気づいたら、その考え方を少し緩めるために、“一方(or)ではなく両面を認める(and)”考え方をしてみましょう。
「成功か失敗か」(or)ではなくて、「成功もあれば、失敗もある」(and)と考えてみるのです。
「できるかできないか」(or)ではなく「できるときも、できないときもある。」(and)
こう考えていくと、全か無かと断定的にならず、ゆったりと考えられると思います。
まだまだ寒い日が続きますが、どうぞお体にはご自愛ください。
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