こんにちは。心理士の井上です。
今日は情動コントロールについて、脳科学の観点からお話しさせていただきます。
情動とは何でしょうか。
情動とは悲しみ、嫌悪、怒り、喜び、恐れ、驚き、などのことです。
人間らしい生活を送るのに必要不可欠です。
喜びを感じなければ、幸せな実感を得ることはできません。
また、恐れや怒りがなければ、危険な状態を回避できないかもしれません。
このような人間の情動をつかさどっている脳の部位は“偏桃体”と呼ばれます。
“偏桃体”は、大脳辺縁系と呼ばれる比較的原始的な脳の中にある場所で、記憶をつかさどる海馬とともに、大脳辺縁系の主要な部位とされています。
この偏桃体は、情動の中でも特に快、不快、恐怖などを発動します。豊かな感情を生み出す部位であると言えます。
一方、額の部分にあたる脳である“前頭葉”は社会的な生活のなかで、さまざまな抑制をかけている部位です。
場をわきまえて、発言する内容を精査したり、待つべき時にはじっと待つなど、衝動的な行動にならないよう調整してくれています。
人とサルの脳を比べた場合、前頭葉の大きさは人間の方がはるかに大きいと言われています。
前頭葉が発達した人間だからこそ、自分の情動をコントロールして、他者の気持ちを考えることができるということになります。
つまり“偏桃体”が、感情を豊かにしてくれる動物的な情動に関係する脳であり、“前頭葉”は、人間的な社会性を可能にする脳であるといえます。
特にこの2領域がバランスよく働いてくれることで、人間らしい生活を送ることができるというわけです。
次回はそのバランスが崩れたら…をテーマにお話しさせていただきたいと思います。
毎日本当に暑い日が続いておりますが、お体にはご自愛ください。
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