こんにちは。心理士の井上です。
前回、前々回と脳神経科学的な観点から、感情の生起やそれをコントロールする大脳新皮質、記憶をつかさどる海馬についてお話させていただきました。
今回は人(霊長類)に特徴的な大脳新皮質に関する仮説を紹介させていただきます。
体の重さと脳の重さの比率を考えると、人は他の動物と比べてとても大きな脳を持っています。
また、脳は人の体重の2%にすぎないのに、消費エネルギーは全体の20%も使っていると言われます。
なぜ人(霊長類)の脳は大きな脳を持つ必要があったのでしょうか。
その問いに対する仮説がマキャベリ仮説(社会脳仮説)と呼ばれています。
この仮説では、人(霊長類)は、集団で生活するだけでなく、親子関係などの社会的関係が強く、集団内での競争や協力も生じ、社会が複雑化していく中で、脳が爆発的に進化したのではないかという仮説です。
さらに、MRIなどの精密医療機器の発達により、そのことが証明されつつあるようです。
特に大脳新皮質には、他者とつながりたいという社会的な欲求や他者の心の情動を想像する機能があることがわかってきました。
また、その関わりあいの結果、他者からの評価や肯定や共感によって「生きる意欲」が湧き、それはさらなる脳の進化につながるそうです。
社会の中で人が他の人とコミュニケーションをとりながら生活していくことは、脳科学的にも必要なことだということになりそうです。
人とのつながりを欲するのは脳にとっては必然なのですね。
朝夕は肌寒くなってまいりました。どうかお体にはご自愛ください。
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